大脳・脳幹・小脳の構造や働きを考えよう。-小脳編-

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小脳とは?

まず、小脳の基本情報から始めましょう。

小脳は脳の後ろ側、ちょうど後頭部の下あたりに位置しています。

重さは120〜140グラム程度で、見た目は小さな脳のような形をしていますが、実は大脳とは異なる機能を持っており、主に体のバランスや運動の調整を担当しています。

皆さんが歩いたり、物を掴んだりする際に、スムーズに動けるのはこの小脳のおかげなんです。

小脳の核とその役割

小脳には4つの核があります。

室頂核(しつちょうかく)、歯状核(しじょうかく)、球状核(きゅうじょうかく)、そして栓状核(せんじょうかく)です。

それぞれ異なる役割を持ち、体の動きやバランスの調整に重要な役割を果たしています。

ちょっと難しそうな名前ですが、ひとつずつ見ていきましょう。

1. 室頂核(しつちょうかく)

まず最初に、室頂核です。

これは小脳核の中でも最も古い部分で、原始的な機能を持っています。

この核は、平衡感覚やバランスを取るために重要な役割を果たしており、前庭神経(耳の奥にあるバランス感覚を司る神経)と密接に関係しています。

もしこの部分に障がいが生じると、体のバランスが崩れてしまい、まっすぐ立つことや歩くことが難しくなることがあります。

2. 歯状核(しじょうかく)

次に、歯状核です。

これは小脳核の中で最も大きい部分で、新小脳と呼ばれる領域に属しています。

この核は、大脳皮質と密接に関連しており、複雑な動きを計画し、実行するための指示を出す役割を担っています。

例えば、手を伸ばして何かを取るとき、スムーズにその動作を行うためには歯状核が正確に働く必要があります。

もし歯状核に問題が生じると、新小脳症候群と呼ばれる状態が起こり、歩行障害や言葉を発する際の障害(構音障害)、目が意図せず動いてしまう眼振(がんしん)などの症状が現れます。

さらには、反跳現象という特有の症状も見られます。

これは、力をかけた後に急にその力が抜けると、自分の体をコントロールできなくなり、意図せず自分自身を傷つけてしまうことがあります。

3. 球状核(きゅうじょうかく)と栓状核(せんじょうかく)

最後に、球状核と栓状核です。

この2つは古小脳に属しており、体幹や四肢の運動を制御する役割を持っています。

脊髄を通じて体の深部感覚を受け取り、それを基にして体の動きを調整しています。

例えば、歩くときに足がしっかり地面を捉えて前に進むためには、これらの核が正しく働く必要があります。

しかし、もし球状核や栓状核がうまく働かない場合、千鳥足のようにふらふらと歩いてしまうことがあります。

これが深部感覚の障害による影響です。

小脳の役割を振り返って

小脳は、私たちが日常生活をスムーズに送るために必要不可欠な存在です。

バランスを取る、複雑な動作を行う、体の深部感覚を正確にキャッチする、これらすべての機能を支えているのが小脳なのです。

こうして小脳の役割や構造を見てみると、普段何気なく行っている動作がどれほど精巧なシステムの上に成り立っているのかが分かりますね。