大脳・脳幹・小脳の構造や働きを考えよう。-脳幹編(延髄)-

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延髄について深掘りしてみましょう。

延髄は、脳幹の最も下に位置し、脊髄と脳をつなぐ重要な中継ポイントです。

ここでは、運動や感覚、さらには生命維持に関わる様々な機能が詰まっています。

今回はその中でも、いくつかの代表的な神経核や経路について詳しく見ていきます。

疑核(運動神経核

まずは疑核から。

この核は、延髄にある運動神経核で、舌咽神経、迷走神経、副神経の3つの神経が関わっています。

それぞれが違った役割を持っていますが、これらは一緒に働いて、私たちが話す、飲み込む、そして呼吸するのを助けてくれます。

舌咽神経(Ⅸ)

舌咽神経は、運動神経、感覚神経、副交感神経の3つを支配しています。

運動神経は、茎突咽頭筋を動かして、飲み込む動作をサポートします。

また、感覚神経は舌の後ろ1/3の味覚と感覚を伝え、副交感神経は耳下腺の唾液分泌をコントロールします。

要するに、食べ物を味わいながら、スムーズに飲み込むために働いてくれるのがこの神経です。

 

迷走神経(Ⅹ)

迷走神経は、運動神経、感覚神経、副交感神経の3つを支配し、全身に広がる大切な神経です。

嚥下や発声に関わる咽頭筋や喉頭筋を動かし、咽頭と口蓋の粘膜の感覚を伝えます。

また、副交感神経として、胸や腹腔内の臓器にも影響を与えています。

迷走神経が正常に働くことで、呼吸や消化、心臓のリズムが保たれます。

この神経がなければ、身体の多くの機能が一気に狂ってしまうので、とても重要な役割を果たしています。

 

副神経(Ⅺ)

副神経は運動神経のみを支配し、僧帽筋と胸鎖乳突筋という2つの筋肉を動かします。

これらの筋肉は首や肩の動きを制御するのに大切です。

たとえば、首を左右に動かしたり、肩をすくめたりする動作がこれらの筋肉の働きによるものです。

 

舌下神経(Ⅻ)

最後に舌下神経ですが、これも運動神経のみを支配しています。

この神経は、舌の筋肉をコントロールして、食べ物をかき混ぜたり、飲み込んだり、言葉を発したりするのに欠かせません。

舌の動きがスムーズであるほど、食事や会話がしやすくなりますよね。

孤束核(感覚神経核

次に、孤束核です。

この感覚神経核は、顔面神経、舌咽神経、迷走神経が関与しています。

これらの神経は、味覚や内臓からの感覚を脳に伝える役割を持っています。

顔面神経

顔面神経は、舌の前2/3の味覚を担当しており、私たちが食べ物の味を感じることができるのは、この神経のおかげです。

食事を楽しむために欠かせない存在ですね。

 

舌咽神経

先ほども触れましたが、この神経は舌の後ろ1/3の味覚を伝えます。

辛いものや苦いものを食べたときに、その味をしっかりと感じるのはこの神経の働きです。

 

迷走神経

迷走神経は、内臓の感覚を伝える大切な役割を持っています。

たとえば、胃がいっぱいになると感じるのは、この神経が胃の情報を脳に送るからです。

感覚神経としての役割も、全身に広がる迷走神経の重要な一面です。

下オリーブ核

次に、少しマニアックな部分ですが、下オリーブ核についても触れておきましょう。

この核は、延髄の錐体の外側にあるオリーブという構造を形成しています。

下オリーブ核は、主核と副核に分かれ、それぞれが異なる役割を持っています。

主核

主核は小脳半球全体に投射線維を送り、小脳が身体のバランスを取るのに重要な役割を果たします。

副核

副核は虫部と中間部に投射線維を送り、運動の微調整を助けています。

この部分が正常に働くことで、私たちの動きが滑らかになるのです。

下オリーブ核に関連する代表的な疾患が「オリーブ橋小脳萎縮症(OPCA)」です。

この病気は、オリーブ、橋、小脳が萎縮してしまい、運動機能に重大な影響を与えます。

内側毛帯

最後に、内側毛帯について少しお話しします。

内側毛帯は、後索内側毛帯路系と呼ばれる経路で、識別性触・圧覚や意識性深部感覚を脳に伝えます。

この経路は、上肢や下肢からの感覚情報を延髄で交叉させ、さらに脳へと伝達していきます。

後索内側毛帯路系

この系統では、まず上肢は楔状束、下肢は薄束が感覚を感知し、それが脊髄の同側後索へと伝わります。

その後、延髄で交叉し、橋や中脳を通って、最終的には視床頭頂葉の中心後回へと感覚情報が送られます。

これにより、私たちは身体の各部位からの感覚を正確に認識することができます。

 

まとめ

延髄は、私たちが日々生きていくために欠かせない多くの機能を支えています

普段はあまり意識することのない部分かもしれませんが、こうして考えてみると、延髄の働きがどれほど重要かがわかりますよね。