バセドウ病や橋本病、骨粗鬆症といった病気を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
これらは、甲状腺や副甲状腺の機能が亢進したり低下したりすることで起こりうる疾患のひとつです。
今回は、甲状腺と副甲状腺の役割に焦点を当てていきますが、疾患についてはあまり深入りしませんので、軽い気持ちで読んでみてくださいね。
甲状腺の役割
まずは甲状腺から。
甲状腺ホルモンといえば「サイロキシン(チロキシン)」が有名ですが、その役割を5つに分けてみます。
- 血糖値の上昇: これが進むと、体内のエネルギーをどんどん使うようになります。
- 体熱産生の上昇: 寒い冬でも身体がポカポカになるのはサイロキシンのおかげかも?
- 組織の分化の向上: ちょっと専門的ですが、これで体の各部分が専門の働きを持つようになります。
- 細胞の酸素消費率の上昇: 体のエンジンがどんどん回転するイメージです。
- 骨破壊の向上: 骨を作り替えるために古い骨を壊す作業も活発になります。
覚え方としては、「サイロキシン=代謝がやばい!」なんて覚えるといいかもしれませんね。
次に、「カルシトニン」。
カルシトニンの役割は3つです。
- 血中のカルシウムイオン濃度を下げる: 血中のカルシウムをコントロールしてくれます。
- 骨破壊の抑制: 骨が弱くならないようにサポートします。
- 腎での無機リン酸の排泄促進: 尿中にカルシウムやリン酸を排出して、体内のバランスを保ちます。
副甲状腺(上皮小体)の役割
続いて、副甲状腺です。
副甲状腺ホルモン(パラソルモン)の主な役割は次の2つです。
- 骨のカルシウムを血中に放出: これで血中カルシウム濃度が上がります。
- 尿細管でのカルシウム再吸収を促進: 体にとって大事なカルシウムを再利用できるようにします。
甲状腺の疾患
次に、甲状腺の疾患について少し触れておきましょう。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
バセドウ病は、甲状腺の機能が活発になりすぎてしまう病気です。
例えば、歌手の綾香さんや元ピンクレディーの増田恵子さん、ロックバンド「X JAPAN」のリーダーYOSHIKIさんなどがバセドウ病を公表されています。
メルセブルグ三徴候と呼ばれる3つの症状が特徴的です:
他にも、体重減少、体温上昇、多汗、易疲労感など、サイロキシンが過剰になると色々な症状が現れます。
甲状腺機能低下症(橋本病、粘液水腫)
橋本病は甲状腺の機能が低下する病気で、芸能人の研ナオコさんがこの病気と戦っていることが知られています。
橋本病では、体重増加や体温低下、甲状腺の腫れが特徴的です。
粘液水腫は成人で見られる甲状腺機能低下症の一種で、むくみが特徴です。
むくみは押してもへこまないタイプで、顔つきや動作が緩慢になることもあります。
副甲状腺の疾患
副甲状腺機能亢進症(骨軟化症、骨粗鬆症)
副甲状腺機能が亢進すると、骨軟化症や骨粗鬆症が引き起こされることがあります。
アナウンサーの相川梨絵さんもこの病気に苦しんだことが知られています。
骨軟化症と骨粗鬆症の違いについて説明します。
骨軟化症は、骨の中のリン酸カルシウムが減少し、骨が柔らかくなる病気です。
一方、骨粗鬆症では、リン酸カルシウムだけでなく、コラーゲン繊維も減少していくため、骨が全体的に弱くなります。
どちらも骨折のリスクが高く、特に骨粗鬆症では、脊椎、脚の付け根、手首、腕の付け根などで骨折が起こりやすくなります。
副甲状腺機能低下症(テタニー)
副甲状腺機能が低下すると、テタニーと呼ばれる症状が現れることがあります。
テタニーでは、顔の筋肉が痙攣したり、手の筋肉が収縮してしまったりします。