分類
脛骨大腿関節(大腿脛骨関節)は、1軸性の蝶番関節として知られています。
これが一般的に指す『膝関節』です。
膝蓋大腿関節は3軸性の鞍関節であり、膝の安定性を支えています。
構造
膝関節は大腿骨と脛骨のみの関節であり、元々不安定な構造です。
そのため、筋肉群と靭帯が重要な役割を果たし、安定性を向上させています。
筋肉の衰えや靭帯の緩みが膝関節の不安定性となり、変形性膝関節症を引き起こす可能性があります。
特徴
- 滑りと転がり: 膝関節では、滑りと転がりが複合的に行われています。
- 0度~30度:転がり
- 30度~90度:転がり+滑り
- 90度~130度:滑り これらの動きが円滑でなくなると、膝関節の機能に影響を与えます。
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膝の自動回旋運動: 膝関節の伸展(伸展運動)時には脛骨が外旋し、曲げ(屈曲運動)時には内旋します。これをスクリュー・ホーム・ムーブメントと呼びます。膝関節の屈曲が30度程度で、大腿骨と脛骨が最も一致するとされています。
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Femoro-Tibial Angle (FTA): 大腿骨の長軸と脛骨の長軸が交わる角度で、正常値は170度~175度です。生理的外反がみられます。
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Qアングル: 上前腸骨棘から膝蓋骨中央への直線と、膝蓋骨中央から脛骨粗面への直線が交わる角度を示します。男性では10度、女性では15度が正常とされ、20度を超えると膝蓋骨の脱臼リスクが高まります。
半月板の特徴
半月板には以下の特徴があります:
- 関節の適合性向上
- 緩衝作用
- 可動性の円滑化
- 関節内圧の均等化
- 滑液の分散
- 膝の側方動揺防止
- 関節包の挟み込み防止
また、半月板にはメカノレセプターが存在し、これは緊張度を感知して反射的な筋収縮を引き起こし、膝関節の安定性をサポートします。
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内側半月板: C型で厚さが薄く、直径が大きい特徴があります。内側側副靭帯と結合しており、内側半月板損傷時には内側側副靭帯の損傷が合併することが多いです。
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外側半月板: O型で厚さがあります。
靭帯
主な靭帯には前十字靭帯と後十字靭帯があります:
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前十字靭帯: 膝関節の伸展時に脛骨の前方への滑りを防止し、特に股関節の内旋時には強く緊張します。
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後十字靭帯: 膝関節の屈曲時に脛骨の後方への滑りを防止し、前十字靭帯の2倍の強度を持ちます。
代表疾患
代表的な膝関節の疾患には以下があります:
- 変形性膝関節症
- 靭帯損傷
- 半月板損傷
- 突発性大腿骨顆部壊死
これらの疾患は、膝関節の構造や機能の異常から生じるものであり、適切な管理が必要です。
まとめ
当ブログ記事では、膝関節の構造と特徴について詳細に解説しました。
膝関節は脛骨大腿関節(大腿脛骨関節)と膝蓋大腿関節の2種類に分類され、それぞれ異なる安定性と機能を持っています。
特に脛骨大腿関節は1軸性の蝶番関節であり、関節の不安定性を筋肉群と靭帯が補っています。
筋肉の衰えや靭帯の緩みが変形性膝関節症などの原因となり得ます。
膝関節の動作には滑りと転がりが複合的に関与し、さらに膝の自動回旋運動(スクリュー・ホーム・ムーブメント)があります。
また、Femoro-Tibial Angle(FTA)やQアングルなどの角度が関節の安定性に影響を与えます。
半月板は関節の適合性や緩衝作用、可動性の円滑化などを担い、靭帯(前十字靭帯、後十字靭帯など)は膝関節の安定性を維持する重要な役割を果たします。
代表的な膝関節の疾患としては、変形性膝関節症や靭帯損傷、半月板損傷などがあります。
これらの情報を通じて、膝関節の構造と機能について深く理解することができたのではないでしょうか?