大腿頸体角
股関節の大腿頸体角は、正常時には約125度です。
この角度が増加すると外反股と呼ばれ、角度が減少すると内反股となります。
小児期には約130度の大腿頸体角がありますが、成長とともにこの角度は減少します。
この角度の変化は、股関節の発達や機能に影響を与えます。
大腿骨頭
股関節の大腿骨頭には、3つの主要な血管が栄養を供給しています。
内側大腿回旋動脈と外側大腿回旋動脈がそれぞれ約80%の血液を供給し、残りの20%は大腿骨頭靭帯動脈が担当しています。
これらの血管の健康状態は、大腿骨頭の健康と持続的な機能に不可欠です。
ペルテス病と無腐性大腿骨頭壊死
大腿骨頭には特定の疾患が存在し、その中には小児期に見られるペルテス病と成人期に見られる無腐性大腿骨頭壊死があります。
ペルテス病は特に若年層で見られ、大腿頸体角の変化や血流の問題が原因とされます。
無腐性大腿骨頭壊死は成人に多く見られ、血流不足や骨の代謝異常が引き金となります。
股関節周囲の靭帯
股関節周囲には重要な靭帯が存在し、特に大腿骨頭靭帯と腸骨大腿靭帯が重要です。
大腿骨頭靭帯は約45kgの張力に耐えるとされ、股関節の安定性を支えます。
また、大腿骨頭靭帯動脈がこの靭帯を通じて栄養を供給し、組織の健康維持に寄与しています。
腸骨大腿靭帯は特に強靭で、股関節の伸展、内転、外旋といった運動を制限します。
これは例えば、ボーリングの後の投球時に後方の足に影響します。
股関節周囲の筋肉
股関節の構造を理解するには、大転子に付着する筋肉の役割が重要です。
これには中殿筋、小殿筋、外旋六筋(内閉鎖筋、外閉鎖筋、上双子筋、下双子筋、大腿方形筋、梨状筋)、外側広筋が含まれます。
これらの筋肉は股関節の安定性や運動機能を支え、特にスポーツや日常生活での動作に重要な役割を果たします。
外旋六筋の神経支配には注意が必要で、外閉鎖筋は閉鎖神経によって制御され、他の筋肉は仙骨神経叢によって支配されます。
内旋筋群
股関節の構造を完全に理解するには、内旋筋群の理解も欠かせません。
主要な筋肉には小殿筋と大腿筋膜張筋が含まれ、補助筋として半腱様筋、半膜様筋、中殿筋、大内転筋があります。
これらの筋肉は股関節の動作に重要な役割を果たし、神経支配にはそれぞれ異なる神経が関与しています(小殿筋:上殿神経、大腿筋膜張筋:上殿神経、半腱様筋・半膜様筋:坐骨神経の脛骨神経、中殿筋:上殿神経、大内転筋:閉鎖神経+坐骨神経)。
まとめ
股関節周囲の解剖学の理解は、スポーツのパフォーマンスから日常生活の健康維持まで幅広い分野で重要です。
この知識を通じて、股関節の機能や疾患についてより深く理解し、適切なケアや予防策を取ることが可能です。